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平成22年旧試験民法第一問

平成22年旧試験民法第一問
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一 小問1(1)について
 1 契約が有効なのは当事者の相対立する意思表示が合致することにある。そうだとすれば、事理弁識能力を欠く者は有効な意思表示をなし得ない以上、当事者の双方あるいは一方が事理弁識能力を欠いていれば、相対立する意思表示の合致を観念できず、契約は無効となる。
 本件ではAB間の甲の売買契約時において、Aが事理弁識能力を欠いていたというのだから、当該契約は無効である。したがって、Aは、甲の売買契約の無効を主張して、Bに対して500万円請求することができる。
 2 もっとも、契約は無効であるとしても、Bの方からAに対して契約の無効を主張して甲絵画の返還を請求することはできない。
 確かに、理論的には、取消と異なり、無効の場合には、誰でもそれを主張できるものである。しかし、意思能力を欠くことを理由とする無効主張は、現在では詐欺取消等と同じように表意者保護の機能をはたしていること、表意者以外の者に無効主張することを認めると法的安定を害することに照らせば、無効主張は表意者に限ると解するべきである。
 よって、Bは契約の無効を主張できず、甲絵画の返還を請求することもできない。
二 小問1(2)
 1 AがBに500万円の返還請求をする場合、まず、契約の無効を主張することになるが、かかる主張は、甲が滅失していたことにより、封ぜられるということにはならない。このことは、過失によらないで滅失したときは解除権は消滅しないと定めた548条2項の趣旨に照らしても明らかである。
 2 もっとも、Aが無効を主張して、500万円請求した場合に、Bは、絵画の価値500万円分の損害賠償請求ないし、不当利得請求をAに対してできるから、対当額で相殺すると主張するということが考えられる。かかるBの主張は認められるか。
 3 この点、甲の滅失はAの過失にかかるものでないから、損害賠償請求権は発生しない。また、甲が滅失しても、Aになんらの利益が生じるものでもないから、不当利得返還請求権も発生しない。したがって、上記のBの主張は認められない。
 4 よって、AはBに対して500万円を請求することができない。
三 小問2
 1(1) 取消権者の範囲については、120条に規定がある。そして、その1項では、制限行為能力者の代理人が規定されている。したがって、その点にだけ着目すれば、Aの成年後見人たるCは、AB間の甲の売買契約を取り消すことができそうにも思える。
  (2)しかし、同条同項は、取り消しの対象を「行為能力の制限によって取り消すことができる行為」と限定している。そして、このように限定することにより、いかなる行為が取り消されるかが明らかとなり、取引の安全を図るという成年後見制度の趣旨がよりよく達成される。したがって、取り消しの対象となるのは、行為能力が家庭裁判所の審判により制限された者の行為であると解するべきである。
  (3)よって、行為能力が制限される前になされたAB間の契約をCが取り消すことはできない。
 2 (1)また、無効の主張も上述の通り、事理弁識能力を欠く当事者にしか許されていないので、Cがすることはできない。
 (2)確かに、本人にのみ無効主張を認めるのは、表意者保護のためであるから、この根拠に照らせば、Aの利益の保護者たるCについても無効主張を認めてよいようにも思う。しかし、Cについて無効主張を認めてしまえば、ありとあらゆるAの取引行為を無効にしてしまうことも理論上考えられ、そうなると、Aの私的自治をあまりに害することになってしまう。そうだとすれば、無効主張の範囲はできるだけ限定すべきであり、本人以外は無効を主張できないというべきである。
 (3) よって、Cは無効の主張をすることができない。
 3 追認の対象となる行為は「取り消すことができる行為」(122条)であるから、AB間の無効な契約を追認することはできない。
 また、実質的に考えても、後見人が付く前の行為について、後見人が追認できるというのでは、被後見人の不利益にはなっても利益になることはない。被後見人に後見開始前の行為の無効主張の自由を認めるのが妥当である。

(感想)
 リフォーム詐欺など高齢者を狙った悪質な事件が今でもよく起こっているようなので、この問題は、現実社会に即応した、その意味では実務的な問題だと言えそうです。取消と無効の異同の話は、民法総則の授業で初学者の段階で耳にします。僕も取消も無効も法形式の違いにすぎない、との言説を聞いて、じゃあなんで取消と無効と分ける必要があるんだろうと思った記憶があります。かなーり昔の話ですけど。はぁ。。。
 小問1(2)は、いわゆる「契約関係の巻き戻し」といわれる論点です。契約の履行段階における関連性に関する法理である危険負担が、契約が解除や無効主張されて「契約関係の巻き戻し」が生じる段階においても妥当しないかという問題です。この論点は内田民法?の不当利得の箇所で解説されています。が、いまいち理解できないので、回答ではすっとばしました。
 問題を解いてみて民法の旧試験は新試験にくらべてだいぶ解きやすいなぁ、と思いました。問題点がかなり明確に分かるようになっているし、問題もかなり短いからです。
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元ロースクール生(2010年卒業)

Author:元ロースクール生(2010年卒業)
H23年司法試験を受験しました。
9月の結果が気になってやきもきする日々を過ごしています。

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